変形性膝関節症

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは「変形性膝関節症」は、膝関節でクッションの役割を果たしている軟骨のすり減り、筋力の低下を原因として起こる、膝関節の炎症、膝関節の変形、痛み・腫れなどが生じる病気です。関節としての機能を十分に果たせなくなり、滑らかな動作が難しくなります。
中高年以降、特に50代以上の方に発病するケースが多く見られます。また、女性に起こりやすい傾向があります。
初期段階では、痛みが現れてもすぐに治まったりすることから、自ら受診される方は多くありません。進行すると元の健康な膝を取り戻すことは困難ですが、初期のうちに適切な治療を受けることで、病気の進行を遅らせ、これまで通りの日常生活を永く続けていただけます。
痛みは、身体からの注意のサインです。我慢するのではなく、年齢のせいだと諦めるのではなく、ご自身の身体のサインにきちんと反応し、早期受診、早期治療に努めましょう。

※変形性膝関節症は、関節リウマチと症状が似ているため、間違われることが少なくありません。当クリニックでは、日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本リウマチ学会専門医である院長が、患者様の症状を十分に観察し、正確な検査・診断に努めておりますので、安心してご相談ください。

変形性膝関節症の症状

変形性膝関節症の症状は、大きく三段階に分けられます。
中期、末期へと進行すると、起立や歩行に多大な影響が生じるため、QOL(クオリティ・オブ・ライフ= 生活の質)が著しく低下します。

初期

  • 起床してすぐ歩くと、膝に違和感がある
  • 膝に力を加えると、痛みがある
  • 痛みが現れるが、休むと和らぐ

中期

  • 休んでも、以前より痛みが治まりにくい
  • 膝を畳んだり、脚を真っ直ぐ伸ばすことができない
  • 正座、しゃがむといった動作に痛みが伴う
  • 膝周りの腫れ、むくみ、怠さ
  • 膝の形がデコボコしてきた
  • 膝を使うと「こりこり」「がりがり」と音がきこえてくる(伝わってくる)

末期

  • 膝の骨の変形が一目見てすぐ分かる程になってきた
  • まざまな場面で、日常生活に支障をきたすほど、膝を動かしにくい/強い痛みがある
  • 歩行、立ち座りができない

以上のように、変形性膝関節症は、末期にまで進行すると、私たちが普段何気なく行っている基本的な動きがさらに難しくなります。そのため、仕事、買い物、旅行などの社会生活が思うようにできなくなり、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)が著しく低下します。
活動範囲の縮小、毎日の刺激の少なさ、またご自身に対して情けなさを感じてしまい、うつ状態に陥ることもあります。また、認知症の症状が進むこともあります。

変形性膝関節症の原因

そもそも、変形性膝関節症は「一次性のもの」と「二次性のもの」に分類されます。
変形性膝関節症の大多数は、筋肉の衰え、肥満、膝への過度の負荷などが積み重なって軟骨がすり減り、発症へと至ります。このように、原因を絞りにくく、長年の蓄積により起こるのが「一次性変形性膝関節症」であり、それ以外、つまり病気や怪我などの明らかな原因が認められるものを、「二次性変形性膝関節症」と呼びます。
それぞれについての主な原因をご紹介します。

一次性変形性膝関節症の主な原因

  • 加齢
  • 筋肉の衰え
  • 肥満
  • 膝に大きな負担のかかるスポーツ歴
  • O脚、偏平足
  • ハイヒールの着用の習慣
  • 足に合っていない靴の長期間の着用

二次性変形性膝関節症の主な原因

  • 膝周辺の骨折による関節軟骨の損傷
  • 靭帯損傷
  • 半月板損傷
  • 膝蓋骨の脱臼
  • 膝関節の捻挫
  • 慢性関節リウマチ 

変形性膝関節症の検査と診断

変形性膝関節症の検査と診断初めに、患者様の歩き方の観察、問診などを行います。問診では、症状はもちろん、現在のライフスタイルであったり、スポーツ歴、怪我・病気の履歴などをお伺いします。
足の変形・腫れの有無、痛みの生じる部位、膝の曲がり具合・伸ばし具合を確認した上で、X線撮影、関節液検査など行い、それらの情報を多角的に解析し、診断します。

※変形性膝関節症は、関節リウマチと症状が似ているため、間違われることが少なくありません。
当クリニックでは、日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本リウマチ学会専門医である院長が、患者様の症状を十分に観察し、正確な検査・診断に努めておりますので、安心してご相談ください。

変形性膝関節症の治療

変形性膝関節症の治療では、痛みの緩和と共に、損なわれた機能性の改善を目指します。
薬物療法、注射、手術など、患者様の膝の状態に合わせた適切な治療を行います。

薬物療法

薬物療法炎症と痛みの緩和のため、非ステロイド性抗炎症剤の外用薬(湿布薬・軟膏)や内服薬を使用します。外用薬は局所的に使用できるため長期的治療に向いており、内服薬は短期間で効果が得られやすい分、副作用にも十分に注意しなければなりません。

 注射

注射関節機能を高めつつ痛みを和らげるための、膝関節内へのヒアルロン酸注射は、変形性膝関節症の進行を抑える効果も期待できます。
また、強い炎症に対しては、膝関節内にステロイド剤を注射することもあります。強い鎮痛作用が期待できます。

手術

薬物療法などで十分な効果が得られない場合には、手術を行うこともあります。
痛みの緩和、膝関節機能の向上などが期待できますが、患者様のご年齢や体力を考慮する必要があります。
なお、より高度な設備が必要と判断した場合には、信頼のおける専門の医療機関をご紹介いたしますので、ご安心ください。

 高位頚骨骨切り術

変形性膝関節症の原因の1つ、O脚を改善する手術です。長期入院が必要であり、回復には半年程度を要します。
患者様のご希望をおききした上で、体力やライフスタイルを吟味し、手術の行うかどうかを判断しなければなりません。

人工膝関節置換術

関節の著しい変形、強い痛みで生活に支障をきたしている場合に行います。
ただし、最新の人工関節であっても耐久性は万全と言えない他、可動域の縮小などのリスクが伴います。

関節鏡視下郭清術 (デブリードマン)

関節の変形がそれほど進行しておらず、痛みの主な原因が半月板損傷と骨の変形にあるケースで行うことができます。
適用条件を満たしている方は、高い効果を得られます。

変形性膝関節症を予防するには?

変形性膝関節症を予防するには?病気や怪我の種類に関係なく、予防のためにはその原因を取り除いておくことが大切ですね。
変形性膝関節症では、膝に過度の負荷をかけないこと、トレーニングで筋肉を維持しておくことが特に重要です。
トレーニングと言っても、特別なことをする必要はありません。こちらでは、ご自宅で簡単にできる、変形性膝関節症の予防にぴったりな運動をご紹介いたします。

大腿四頭筋(太腿の前側の筋肉)を鍛えると同時に、関節軟骨の代謝を促進し、柔軟性を高めます。膝の可動域を維持するのにも有効です。

椅子に深く座り、太腿と脛が一直線に、水平になるまで、5秒かけて片足を上げていきます。膝はできるだけピンと伸ばし、つま先は立てて(天井に向けて)ください。

上げた片足を、5秒かけてゆっくりと下ろします。

反対の足も同じように上げ下げします。ここまでで1セットです。

少ないセット数でも構いませんので、できるだけ毎日続けましょう。慣れてくれば、20セットを目標に増やしていきましょう。